野球で高校進学を考えているご家庭にとって「是非、ウチの高校へ来てください」と声をかけて貰えることは、とても嬉しいことですよね。
高校側から声をかけて貰える選手は、ごく一部です。全く声がかからない選手も普通にいます。
チームの中には、複数の高校からお誘いを受ける選手もいます。一人の選手にスカウトが集中することは珍しくありません。
スカウトが「この選手いい!」と思う場合は、他の高校も同じように思っています。
このように、複数の高校から声がかかると、どうしても欲が出てしまう父兄もいらっしゃいます。
欲を出すこと自体、悪いことではありません。
少しでもレベルの高い環境で、甲子園を目指せる環境の野球部に入部したいと思う気持ちは、真剣に頑張っていれば生まれる感情です。
そんな本気で頑張っているご家庭だからこそ、気を付けてほしいことがあるのです。
今回は「野球推薦で高校から複数の誘いを受けて悩む家庭がやりがちな失敗」について具体的に説明していきたいと思います。
高校から野球推薦が来た時の判断基準
高校からお声がかかった場合には、条件というものが存在します。いわゆるスポーツ特待制度です。
Sランク、Aランク、Bランク等という名称で呼ばれることが多いでしょう。
ある高校の事例ですが、このようにランク付けされています。
Sランク:入学金、授業料全額免除
Aランク:入学金全額免除、授業料半額免除
Bランク:入学金全額免除
お子さんが高校側から声がかかった場合、すぐにその場で親に条件を提示されることは殆どありません。
後日、チームの役員や指導者を通じて、対象のご家庭に条件の連絡があります。
現在は野球の技術はもちろんですが、学業に関しても重きを置いている学校は増えておりますので、対象の選手の成績について、チームの指導者に確認をした上で高校側が総合的に判断しランクを決める場合が多い為です。
ここで、複数の高校から声がかかっているご家庭が進路を選ぶ際に、気を付けていただきたいことがあります。
それは金銭的な条件だけで進学する高校を選んではいけないということです。
例えば、〇〇高校はSランク、△△高校はAランクでお話しがあるとします。
その際にお子さんに「第1志望は△△高校だけど、条件がいいのは〇〇高校だから、〇〇高校に行きなさい」と金銭的な条件のみで判断をしてしまう。
入学金、授業料以外にも、寮費や食事代、部費、遠征費などもかかってきますので、少しでも安い所に行ってほしいというご父兄さんの気持ちもわかります。
しかし、金銭面だけでは判断が難しい環境面や学習面、その先の進学面からも判断することも大切です。
実際に選択した高校で毎日を過ごすことになるのはお子さんです。
ですので、充実した高校生活の為にも、あらゆる方面からお子さんに合った高校選びを行っていただきたいと思います。
野球推薦の高校への返事を延ばし過ぎると起こる現象とは
お声をかけていただいたら、すぐに返事をしなければいけないかというと、そんなことはありません。
家族で充分時間をとり、話し合いを行った上でお返事をしたいと考えている方は多いと思います。
声をかけてくれた学校が最初の1校だった場合
「もしかすると、他の高校からも声がかかるかもしれない」
「ここですぐに決めてしまった後に、もっと条件のいい高校が現れたらどうしよう」
などと考えて、返事を引き延ばすことはよくあります。
しかし、その条件というのは、声がかかった時点での条件です。
すぐに判断する必要は無いまでも、ずっと同じ条件のまま待ってくれるということはありません。
なぜなら、高校のスカウトは同じような話を他のチームでもしているからです。
例えば、お子さんと同じポジションでタイプが似ている選手が他のチームでもいて、声をかけていた場合です。
他のチームの選手のほうが、先に「この条件でいきます!」と返事をしたとします。
早く意思表示をするということは、その高校へ進学を強く望んでいるご家庭だと判断されます。
暫くたってから、あなたのご家庭が「行きます」と言った時には、条件が変わっていたり、場合によってはお断りされてしまうこともあります。
以上のことから「返事を引き延ばし過ぎると、折角のチャンスが流れてしまう場合がある」ということを覚えておいてほしいと思います。
野球推薦を複数の高校から貰った場合に優先すべきこと
複数の高校から声をかけていただけるということは、それだけあなたのお子さんの進路の選択肢が広いということになります。
とても喜ばしいことですが、ここで金銭的な条件や、親の希望ばかりを優先した進路選びをしてしまうと、後から「どんなに条件がよくても、僕が本当に行きたかった高校は別の高校だった…」と言われることになりかねません。
一度「行きます」と返事をした高校の場合、よほどのことが無い限り、中学野球のチーム側も変更は認めておりません。
そこには高校側と中学野球のチーム側のパイプが関係している為です。
高校側も声をかける場合は、入学後のチーム編成を見越して声をかけています。
中学野球のチーム側も「パイプのある進路は、今後の選手の為にも大事にしたい」との考えがあります。
このことから、声がかかっているチームが複数ある場合は、金銭的な条件ももちろん大事ですが、やはり優先すべきは「実際に野球をする本人の意思」ここが一番のポイントとなります。
まとめ
今回は「野球推薦で高校から複数の誘いを受けて悩む家庭がやりがちな失敗」について事例を挙げて説明いたしました。
・野球推薦で複数の高校から声がかかった場合、金銭的な条件のみで判断することなく、環境面、学習面、その後の進路も踏まえた上で、お子さんに合った進路を選択する。
・声がかかった時の条件は「今」を基準に考える。返事を引き延ばし過ぎると、折角のチャンスが流れてしまう場合がある。
・野球推薦を複数の高校から貰った場合に一番に優先すべきことは、実際に野球をする選手の意思である。
本気で野球で高校進学を考えているご家庭にとって、複数の高校から声をかけて貰えることは本当に嬉しいことではありますが、だからこそ家族でよく話し合い、納得のいく進路を選んでいただきたいと思います。