少年野球チームに入部したものの、何らかの理由で途中退団してしまう選手は少なくありません。
「野球やりたい」と志を持ってはじめたものの、途中で辞める決断に至るのには、相応の理由があるからでしょう。
私が携わっているチームでも、さまざまな理由がありました。しかし、下記のような理由の方は割合としては少ないです。
・長期の怪我で完治までに時間がかかること
・子ども同士のトラブルでの退団
では、退団に至ってしまう多くの事例とはどのようなものがあるのでしょうか?
その殆どが選手本人ではなく、親の都合が絡んでいます。とても残念なことですが、さまざまな要因によって軋轢が生じた結果、子どもに退団を促すような形で去っていく例が多いのが現状です。
そこで今回は「少年野球の退団について本当の理由」について、考えてみたいと思います。
少年野球の退団理由① 指導方針の不満
お子さんが試合に出て活躍する姿、見たいですよね。日々、努力を続けているのですから練習の成果をおもいっきり活かす機会がほしい!そのように考えるのは当然でしょう。
しかし、実際には誰もが試合に出ることが出来る、華々しく活躍出来る訳ではありません。
・「こんなに一生懸命練習しているのに何故?」
・「あの子はいつも試合に出ているのに、何故我が子はいつもベンチなの?」
・「あの子はミスしても交代させられないのに、我が子がミスするとすぐ交代…なんで?」
そんなふうに思ったことありませんか?
試合に出ている選手と出ていない選手では、実践をこなしている回数も違ってきますので、ますます差が広がってしまうこともあります。
・「このチームにいても、我が子にチャンスが巡って来ない」
・「レギュラーの子ばかり指導して、そうじゃない子は見て貰えない…同じ月謝払っているのに納得できない」
・「子どもがミスして怒鳴られている姿を見るのが辛い…移籍させようか」
不満は1日にして起こる訳ではありません。このような状態が毎週続くことで、チームにいることの意義を見出せず不満が爆発、退団してしまうケースです。
中にはこんなふうに言うお子さんもいます。
「試合に出れなくても、みんなと一緒にいたいからこのチームを辞めたくない」
お子さんがこのように言っても、親が我が子の状況を見兼ねて辞めさせるパターンです。
「我が子の可能性を見出してくれるチームは他にあるはず!」との思いから親が移籍の道を選ぶ場合です。
少年野球の退団理由② 親の負担が多い
入団前の体験時には、チームについての説明があると思います。
この中で、お母さんが一番気にしていること、やはり当番ではないでしょうか。
有無や頻度、やることの内容に至るまで、とくに初めて野球チームに所属するお母さんは、とても心配しておられます。ですので最初から「当番なし」を明記しているチームに入団するご家庭も多いです。
しかし、入部してからわかったこと。
・確かに当番はないけれど、来ていないと気まずい。
・とくに試合に出ている選手の親は「来て当然」の雰囲気がある。
・来ている家へ負担が偏っている。
入ってからでないとわからなかった事実。お子さんのやる気と裏腹に、入部に消極的なお母さんの場合「当番なしって書いてあったから入部したのに…なんとなくこの場にいないといけない、この時間が辛い」と感じて、「お母さん、無理だわ」となってしまって辞めさせてしまう場合もあります。
少年野球の退団理由③ 親同士のトラブル
育った環境もそれぞれですから、考え方もさまざまです。当然、チーム内に自分と合わない人もいるでしょう。
やはり、みなさん大人ですから、そこはお互い歩みよって協力していこうとするでしょう。
しかし、些細な言動が火種になり、大ごとになって退団ということだってあるのです。
そんな状況は誰も望んでいませんし「子ども達が思いっきり野球を出来る環境を守る」という、そもそもの少年野球の主旨に反することになりますよね。
「野球をやりたい」と思って集まってきた子ども達が、ますます野球が好きになる環境を作ってあげるのは役員、指導者、親も含め大人の役割だと思います。
親同士のトラブルで、子ども達が志半ばでチームを去らなければならない状況、野球から遠ざからなければいけないような状況を回避出来るのも大人だということを、意識しておくことが本当に大切です。
少年野球の退団理由④ 親からのプレッシャー
これは案外気付いていないお父さん、お母さんも多いかもしれません。
レギュラー争いをしているライバル選手の家が活躍、我が子が不甲斐ない結果に終わった場合です。
そこで「あの子は4打数3安打、あなたの結果は何?1本もヒット打ってないじゃない!」などと、他人と比較して攻め立てるような言動を放つことです。
その事実を痛いほどわかっているのはお子さん本人です。
お子さんが「自分はダメなんだ…」と思ってしまうような状況を作ってしまう。それが何度も重なると、気持ちを切り替えたり、前向きに努力をしていくことが難しくなってしまいます。
親からのプレッシャーが、かえってお子さんを潰してしまうこともある。
結果が出ていない時こそ、精神的な支えが必要な時なのに、「ホッとできる場所」がない。心の逃げ道を作らせない過度な期待は、お子さんを「野球嫌い」にさせてしまうこともあるのです。
この記事で伝えたいこと
今回は「少年野球の退団について本当の理由」を書いてみました。
お子さんが「チームを辞めたくない」と言っているのに、親が指導方針に納得がいかず無理矢理辞めさせてしまった家もありました。
子ども同士は仲がいいのに、他の兄弟の習い事の関係で、家の方向が同じということから度々送り迎えをお願いしてくる家庭とお願いされる側の家庭がトラブルになり、両方の家が辞めてしまったこともありました。
私もさまざまな事例を見てきましたが、お子さん自身の問題というより、大人である親が絡んでいる場合が本当に多いです。お子さんが途中で退団しなければならない事態を避ける為にも、理由を知っているだけでもかなり違ってきます。
「お子さんが大好きな野球を思いっきり出来る環境を守るのは大人なんだ」ということを心にとどめておいてほしいと思います。