中学野球で硬式のクラブチームに入団したご家庭は、甲子園に出場するような名門野球部への進学を念頭に置いて、日々過ごしておられることと思います。

私が所属しているチームでも、進路を選ぶにあたりこのような話をお母さんから聞きます。

「進路選択と言われても、どのような流れで進めていけばいいのかわからない」

「周囲に聞ける人がいなくて不安」

「チームメイトのお母さんに相談したら、ウチが行きたい学校がバレてしまう」

みなさん悩んでいるし聞きたいけれど、進路のことはあまり知られることなく進めたいと考えているお母さんも多いと思います。

そこて今回は「中学硬式野球の進路選びについて|お母さんに知ってほしい3つのこと」についてお話をさせていただきます。

中学野球の進路は「今」を条件に選ぶ

高校野球の指導者は中学硬式の秋季大会や春季大会もチェックしており、試合が行われている球場に足を運んでいます。

またパイプのあるチームの練習や練習試合を見学し、気になる選手がいれば声をかけることもあります。

「我が子が高校野球の指導者の目にとまる!」喜ばしいことではありますが、みなさん同じように考えている訳ではないというのも事実です。

実際に「声がかかった学校が第一志望の〇〇高校じゃなかったから」と、返事を先伸ばしにした場面も目の当たりにしました。

今、ご覧いただいているお母さんには、その場合に起こりうるこんな現実があることも知っていただきたいと思っています。

第一志望の高校進学が難しくなった場合に、最初に声がかかった高校に「じゃあお願いします」と言っても「特待の枠が埋まってしまった。最初の条件では受けられない」と断られるケースがあります。

高校野球の指導者は、あなたのお子さんにだけ声をかけているとは限らないのです。

「他のチームでも同様の話を進めている」と考えたほうがよいでしょう。

良い条件を提示していただいたとしても、よい条件は「今」が基準で、いつまでも待ってはくれません。声をかけた選手が早い段階で返事をするということは「この高校で野球を頑張りたい!」の意思表示にもなります。

「自分の学校に望んだ形で来てくれる、相思相愛の形で来てくれる」ことを高校野球の指導者は願っていますし、だからこそ良い条件を提示するのでしょう。

このような事例があるからこそ「第一志望の学校の話を進めてから、返事をしても大丈夫だろう」といつまでも流暢に構えていると、最初の話も条件が悪くなってしまったり、場合によってはなくなってしまういうことを覚えておいていただきたいと思います。

中学野球で進路のオファーがあった時の見極め方

自身が所属するチームから、複数の選手に高校側から声がかかる場合があります。

その時、あなたはどのように考えますか?

「チームメイトの〇〇くんと△△一くんが一緒だったら安心だわ」

このように考えたお母さん、ちょっと待ってください!

その進路、本当に手放しで喜んでいい内容ですか?

これからお伝えする内容は、私が当時経験したお話しです。

息子が中学二年生の3月、とある高校の監督さんがグランドにお見えになりました。

練習の様子を見学し、その監督さんは3人の選手を指名しました。その中の一人に我が子も入っていたのです。

監督さんから封筒を手渡されました。中には学校案内のパンフレットが入っていました。

息子は声がかかったことを喜びつつも「〇〇が声かかるのはわかる、チームで主軸の4番だから。でも他が△△と俺なのは何故なのか?」と本音を漏らしました。

これまでの試合での結果を見ても、〇〇くんと我が子には実力の差があったのは事実です。

「なぜ我が子なのか?」

「その学校に進学した場合の我が子の立ち位置はどういうものになるだろうか?」

悩みながら考えました。

結果、折角のお話でしたが、我が家はその話をお断りしました。

その理由は「本命選手を高校側が迎え入れる条件で、他選手の進路も受ける」という図式だったからです。我が子はその「他選手」の立ち位置でした。

同時に声がかかった△△くんは、その高校へ進学しました。

このまま進学をしていたら、本命選手である〇〇くんの高校進学後の立ち位置は、将来の主力選手。我が子は背番号をもらうことも厳しく3年間スタンドで応援だったと思います。

後にその考えは現実のものとなりました。〇〇くんは早期に背番号をもらい上級生に交じり活躍、3年夏にはもちろん一桁の背番号で予選に臨んでいました。

もう一人の△△くんは、背番号をもらい公式戦に出場することもなく、最後の夏もスタンドでの声援で終えました。

この経験をふまえお伝えしたいことは、我が子のチームでの立ち位置、これまでの戦績を考え判断することの重要性。声がかかった場合、我が子が本命の選手なのか否かの現実を冷静に見極めることが進路の明暗を分けることにもなるということです。

中学野球で「待ち」の姿勢は機会を逃す!我が子の進路を他人任せにしない

「我が子の進路選択は初めての経験だし、わからないからチームにお任せで」というお母さんに今一度考えていただきたいこと。

それは、我が子のことを誰よりもわかっているのは「お母さん」あなたではないでしょうか。

チームの指導者は技術的な指導は可能です、選手と接していく中で、性格もおのずと把握していくでしょう。しかし、それは、野球を通じての活動の中の一部なのです。

進路選択において、よく話を聞き我が子がいきいきと野球が出来る進路を整えてあげるのは親の役目です。

その為にどのように動けばよいか常に考えておく。決して「待ち」の姿勢にはならないでください。機会を逃すことなく、希望する高校へ進学するためにも、我が子に寄り添い応援してあげてほしいと思います。

まとめ

今回は、「中学硬式野球の進路選びについて|お母さんに知ってほしい3つのこと」についてお話ししました。

・オファーがあった場合、よい条件は「今」が基準になっていることを把握しておく。

・複数の選手に声がかかった場合、我が子が本命の選手なのか否かの現実を冷静に見極める。

・我が子がいきいきと野球が出来る進路を整えてあげるのは親の役目であると認識する。

私の経験をお話しすることで、中学硬式野球の進路の選択について、悩んでいるお母さんの心が少しでも救われ、お子さんと一緒に前向きに未来へ向かっていけることを願っています。